ミステークを気にしていては、革新はできない

●アルフレッド・スローンは世界最大の自動車メーカーであるGMの名会長として知られた人。フォードを追い抜き、名実ともにGMを世界最大の自動車メーカーに育てたGM中興の祖でもある。

 

●彼は、マサチューセッツ工科大学出身の技術者で、二十代で早くも父親が一部出資してくれた小さな会社の支配人となり、赤字会社を立て直した。すでにそのとき、名経営者としての片鱗を現していた。

 

●やがて彼は、GMの創立者デュラントの目にとまるところとなり、その後援を受けて自動車部品会社の社長となった。

 

●その後、その部品会社がGMに吸収されると、スローンはGMの副社長となり、そこで実績を上げ、やがて社長にもなったのである。

 

●彼がGMの経営の中で最も成果を挙げたのが組織の改革。平たくいえば事業部制の採用だった。組織を車種別に事業部に分け、それぞれの事業部を一つの会社形態にしたのである。

 

●ライバルのフォードは、「車は性能のよい車が一種類あればよい」という考え方だったのに対し「あらゆる所得層とあらゆる目的に向いた車をつくる必要がある」として色々な種類の車をつくった。

 

●結果的にそれがフォードを抜き、GMがアメリカナンバーワンの自動車メーカーにのし上がるきっかけとなったのである。

 

●そのスローンも経営の過程の中で幾度も間違いを犯した。彼自身も「私は間違いを犯した」と正直に告白している。また彼は難しい問題にぶち当たると「私にはわからない。だが、研究してみよう」と問題に対して素直にぶつかった。それが責任分担の明確な組織である事業部制を生み、GMを世界最大の自動車メーカーにのし上げる要因にもなったのである。

 

●人間である以上、過ちは避け得ない。いや過ちがあるから人間であるとも言える。しかし、その過ちをいちいち気にしていたのでは仕事は前へ進まない。過ちは気にするべきではないが、二度と繰り返さないようにするのが大切であろう。