天の将に大任を是の人に降さんとするや必ず先ず其の心志を苦しむ

●原文はもう少し長い。
「天の将に大任を是の人に降さんとするや、必ず先ず其の心志を苦しめ、其の筋骨を労せしめ、其の体膚を餓えしめ、其の身を空乏にし、行うこと其の為さんとする所に払乱せしむ」

 

●神がある人に大任を授けようとするときには、必ず先ず次のようにさせる。
・その人の心を悩ます。
・その人の体をへとへとに疲れさせる。
・その人を困苦窮乏の境遇において苦労させる。

 

●そして、その人がなにをしても、すべてうまくいかないような逆境を作る。こういうふうにして、その人間に試練を与える。この試練で脱落すればそれまでであり、この試練を乗りこえた人に、始めて大任を課すというわけである。

 

●事業に成功する人には、最初から順風に帆をふくらませているのは少ない。むしろ、若い時に貧乏な生活をしたり、精神的に大きな挫折を受けた人のほうが大成するものである。

 

●自ら苦労した人は、それだけ他人の苦しみや悩みをよく理解できるから、イージーゴーイングにならず、行動の幅が広い。心に
受けた傷をいやし、物質的にも困窮を乗りこえているので、少々のことにはへこたれない。温室育ちのお坊ちゃんにくらべたら、粘り強いし、ハングリー精神をもっているのが強味である。

 

●当今のビジネス社会は、企業でも個人でも、すべて「自由競争」の原理に立っている。封建社会ならいざ知らず、民主的な世の中では、家柄や学歴などの先天的な条件は、ますます無用なものになっていくであろう。

 

●これからの世の中では、ことの成敗を決定するのは、その人の実力と後天的な努力である。したがって、挫折にあい、辛酸をな
めてきた人ほど強く、勝利の女神から祝福を受ける確率が高いのである。逆境を恐れてはいけない。もし、逆境に遭遇したときに
は、これは天の与えたテストだと思って、それを乗りこえて行くことだ。