計画は仕事の根本要素だ 計画は仕事を円満に成就させる

●プランニングが仕事の根本要素であり、円満に成就させるもとだと教えている。いくらよい着眼であっても、見事な計画が伴わなければ仕事は完成しない。

 

●実は、スマイルズのこの言葉は彼の代表作である『自助論』(セルフ・ヘルプ)の中に出てくる言葉なのだが、日本では中村正直(敬宇)の訳で『西国立志編』として出版され、明治時代の若者に大変愛読されている。

 

●この本は、「天は自ら助くる者を助く」という独立独行の精神を思想的根幹とした、欧米史上有名な三百余人の成功立志談である。この自助精神は、近代国家と資本主義の形成期にあって、新しい日本と自分の前途に不安を抱いていた多くの青少年に希望の光明を与えた。

 

●自助とは、勤勉に働いて、自分で自分の運命を切り拓くことである。つまり他人や国に頼らないことである。これを現代流に言えば自己実現ということになるだろう。

 

●この本では、これでもかこれでもかといったぐあいに多くの人物の例をあげて、この辺のところが詳しく論じられている。これだけ
の例をよくも集めたものだと、スマイルズの根気強さにあきれるほどである。しかしその点がまさにこの本の魅力であり、この本が世界十数ヶ国語に訳されたベストセラーとなったゆえんでもある。明治の青年たちがこの本を読んで奮い立ったのも無理はない。

 

●「天は自ら助くる者を助く」
この格言は、幾多の試練を経て現代にまで語り継がれてきた。その短い章句には、人間の数限りない経験から導き出された一つの真理がはっきりと示されている。自助の精神は、人間が真の成長を遂げるための礎である。自助の精神が多くの人々の生活に根付くなら、それは活力にあふれた強い国家を築く原動力ともなるだろう。

 

●外部からの援助は人間を弱くする。自分で自分を助けようとする精神こそ、その人間をいつまでも励まし元気づける。人のために良かれと思って援助の手を差し伸べても、相手はかえって自立の気持ちを失い、その必要性も忘れるだろう。保護や抑制も度が過ぎると、役に立たない無力な人間を生み出すのがオチである。