チャンスは自分でつくり出すものである

●これはアメリカの販売指導者として著名なエルマー・ホイラーの言葉。

 

●チャンスというものはただ漫然と待っていてもやってくるものではない。チャンスを見つけ出してやろう、やってきたらつかまえてやろうという意気込みがあるからこそ、訪れてくるともいえる。宝くじだって買わなければ当たらない。

 

●また、釣師でも魚を釣る時は撒き餌というものをやる。いうなれば準備をして待つ、そこにチャンスが訪れるのである。

 

●日本真空技術という会社がある。昭和四十九年のことだが、当時の社長井街仁のもとに知り合いのアメリカ人から電話が入った。取引先の副社長で「会社がつぶれたので自分を雇ってくれないか」という電話だった。

 

●社長は一瞬逡巡をした。というのも会社がオイルショックの影響を受けて苦境に陥っていたからである。
「彼を一人雇えば相当の経費がかかる。しかしアメリカに拠点が欲しい時でもあるし、できれば雇いたい」
社長は迷ったが、彼を迎え入れる決心をした。

 

●そうしているうちに、彼を通じてアメリカから大きな商談が舞い込んだ。世界のビッグビジネスIBMに半導体製造装置を納める商談である。もちろんきびしい技術的チェックを突破しなければならなかったが、なんとかIBMの要望通りの機械をつくり、納めることに
成功した。そしてそれをきっかけに日本真空技術は大きな名声を獲得し、世界的な真空技術メーカーの地位を不動のものにするのである。

 

●日本真空技術の飛躍のきっかけも一人のアメリカ人を雇い入れなかったら生まれなかった。また雇い入れたのも常日頃、彼と交遊を密にし彼の人柄と能力をよく見ていたからともいえる。

 

●その社長はいっている。
「チャンスというものは必ず来る。しかしそのチャンスをつかめるかどうかは、常日頃、どんな用意をしているかにかかっている」